【インタビュー記事】今すぐ実践できる、AI時代を生き抜くための「もっともシンプルな方法」とは(1/2)

「20年後、あなたの仕事はなくなっているかもしれない」そんな刺激的な見出しが、頻繁に目に付くようになった昨今。AIや機械学習に関わる技術革新に対して、期待とともに漠然とした不安を抱えているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。

そんなテクノロジーと共に生きる未来への視点について、「グロービスAI経営教育研究所」(GAiMERi)所長の鈴木健一氏にお話を聞きました。ビジネスパーソンがテクノロジーを味方につける方法とは。全二回にてご紹介いたします。
第一回は教育のテクノベート化とはなにか、第二回はAI時代でビジネスパーソンに必要な基本スキルについてご紹介いたします。ぜひお読みください。

第一回:教育をテクノベートする(今回)
第二回:AI時代に我々ビジネスパーソンが意識したいこと

◇テクノベート(実践|ビジネス実践知)
【データサイエンスの潮流とビジネスへの実践】

 

1、経営教育をテクノベートする

今回話を聞いた鈴木健一氏は、野村総合研究所やA.T.カーニーなど名だたるコンサルティング企業でグローバルに活躍した経歴を持つ経営のプロフェッショナル。
開学以来運営に携わってきたグロービスでAI×教育の研究に取り組んでいる彼が今目指すこと、それはテクノロジーと教育のよりよい関係の追求です。

 

~学ぶ人の形に合った教育をつくりたい~

「一言で言うと、経営教育自体をテクノベートしたいんです。」

この様なビジョンで運営されているのが、教育機関として成長を続けてきたグロービスが2017年に立ち上げた「グロービスAI経営教育研究所(GAiMERi)」
この組織で取り組まれていることは大きく下記の3つです。

(1)学習データの収集と可視化、解析、分析評価

(2)学習コンテンツ、学習プロセス、ティーチングメソッドの最適化

(3)AIによる記述式解答(レポート、エッセイなど)の自動評価・採点と、個別フィードバック

ずっと昔からある「教育」という分野において今、AIの活用が必要な理由について鈴木氏はこう語ります。

鈴木氏:「教育っていろんな変遷を遂げてきたんです。すごく昔にさかのぼれば、教育は個別化されていました。例えば、アリストテレスがアレクサンドロス大王の教師だったように、古代のお金持ちは家庭教師をつけていました。それが中世以降、集団教育が拡がり、さらに産業革命以降、教育の効率性を上げる必要から現在の近代学校教育制度、教室での集団学習が生まれました。ただ、志向も能力も異なる多様な人材が学ぶ今、再び個別化された学習が必要とされています。そこにAIが役に立つんじゃないかと考えているんです」

上の言葉にもあるように、現在の教育に対する鈴木氏の危機感は強い。
日本の教育は残念ながら集合教育から抜け切れておらず、必ずしも今後の世の中に求められる人物を育てるためのフォーマットとして適切に進化できているとは言いがたい状況にあります。

それは単に「どう学ぶか」という手法だけの話ではありません。
学習者にとっては「いつ学ぶか」も重要な問題です。一時停止したい、すなわち「もう一度復習したい、理解するために必要な時間をもちたい」などタイミングは人それぞれ。
経営教育にもそのような「個別化」の視点が必要なのです。

グロービスがこれまで取り組んできた「経営教育」を個別化することで、次の世代に最適な経営教育や学ぶ人の形に合った教育を作りたい。そう想いを込めて語る鈴木氏ですが、その狙いについて、正解が一つに限らないビジネスの現場ならではの課題があるといいます。

 

~経営教育へのAI活用を阻む壁~

経営教育に取り組むグロービスならではの「AI活用」における壁、その正体は「経営」というテーマそのものにありました。グロービスが教える「経営」は、考える×経営で成り立つ正解のない世界。数字ではっきりと解が導かれるわけではなく、問いも答えも日本語次第でいくつも正解が生まれることが「経営」とAIの間にある壁なのです。

鈴木氏:「教育へのデジタル活用は一つの流れですが、その中でも個別化教育に関して言うと対象は数学や算数からスタートしています。なぜならそれは正解が一つに絞られるから。実際にアナログの時代でも、紙のプリントで個別化の学習ができていました。でもビジネスは正解が一つではありません。学習者に考えさせることを目的としたとき、問いも答えも日本語の文章が必要な『経営』というテーマは、コンピュータ/AIに日本語を理解させることから始まる難しさがあります」

「考える」こと自体が、AI活用の壁となっています。
経営教育だからこそ生まれるこの課題について、鈴木氏は「教育には技術だけではなくサイエンスも大事」というポリシーの下、まずは根幹のコミュニケーション手段でもある日本語の文章処理に力を入れることをメインに取り組み始めています。
AIによる文章理解への取り組みはいまだ困難なことが多いもののチャレンジをしています。

続き(第二回:AI時代に我々ビジネスパーソンが意識したいこと)を読む(AI時代に我々ビジネスパーソンが意識したいこと)

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